8:難関校と連立方程式 2016 開成

「難関校では、連立方程式さえ知っていれば容易に解けるような類の
問題は出題されない」

は、結局は学校それぞれとしか言えない側面があります。
出題するかしないか、学校次第・・・あたりまえですが。

例えば、麻布はその入試問題から、「方程式は学んでこなくて良い」という姿勢を見せ続けているように思います。

では、他の学校はどうなのか。
男子校の筆頭である開成について触れておこうと思います。
やはりトップ校の出題は、他の学校の出題に少なからず影響を与えます。

注 何百校もの入試問題を逐一検討していくことはさすがに現実的ではないのでやりませんが、
多くの学校で方程式さえ知っていれば楽勝という問題が数多く出題されているのは間違いのない事実です。

ずばり、
開成はここ数年、連立方程式を知っていれば有利な問題を出題しています。

2016 の開成 の大問2(3)です。実際の出題ではもちろん(1)(2)とありましたが、本稿の趣旨とは関係ないので省きます。

3人の職人A,B、Cの一日あたりの賃金はそれぞれ、6000円、9000円、30000円です。
ある仕事をA1人に頼むと600日、B1人に頼むと400日、C1人に頼むと200日でちょうど完了します。職人が2人、あるいは3人で同じ日に作業したとき、それぞれの能率は1人とときと変わらず、その合計の作業がされます。最後の日は途中で仕事が完了しても1日と数え、1日分の賃金を支払います。このとき、次の問に答えなさい。

(3)賃金の合計を420万円以内とするとき、この仕事が完了するまでにかかる日数が一番少ないのは、A、B、Cそれぞれに何日ずつ頼むときですか。またそのとき何日で仕事は完了しますか。

420万円以内、これって不等式?
という不安がよぎりますが、とりあえず420万円ぴったりのときで解いてみましょう。
小学生が連立方程式をするなら、そんなものでしょうし。
連立方程式を立式してみると

全仕事を1200とすると(これは仕事算の基本処理で前提とさせてもらいます)、
Aは1日に2の仕事、賃金は6000円   X日
Bは1日に3の仕事、賃金は9000円   Y日 
Cは1日に6の仕事、賃金は30000円  Z日
それぞれ仕事をすると、
仕事量で立式すると、
2X+3Y+6Z=1200・・・①
賃金で立式すると、
6000X+9000Y+30000Z=4200000・・・②
②式を3000で割って③式とします。

2X+3Y+6Z=1200・・・①
2X+3Y+10Z=1400・・・③

ここです!!
①と③を連立するわけですが、
XとYが同時に消せることが機械的な処理から出てきました。
これは算数的に問題を考えていく場合、XとYの賃金あたりの仕事量が等しいことに気づく
ことに相当します(その後はつるかめ算です)。
このような”気づき”なしに、方程式だと機械的な計算処理で済んでしまいました。

入試会場でどうやって解けばいいか困っているとき・・・
連立方程式でやってみるか!という選択肢がある子の方が有利だったことは
間違いありません。

もうこれで言いたいことは言い終わっていますが、
一応最後まで解いておきますね。
途中で終わるのも気持ち悪いですから。

③と①の差をとって、
4Z=200  つまり、z=50 これを①に代入して
2X+3Y=900
X、Yにあてはまる数の組み合わせは何通りかありますが、
日数をもっとも少なくするためには、どちらかが多い日数をやらない方がよい。
今回は2人とも180日、でちょうど割り切れる。
X=180、Y=180
よって、
Aに180日、Bに180日、Cに50日たのみ、仕事は180日で終わります。

連立方程式をたてて、解いて、はいっおしまい!という程単純な問題ではありませんでしたが、
連立方程式を知っていると有利だということはお分かりいただけたと思います。

ちなみに今回は割愛したこの大問の(2)は、問題のポイントがつかめれば非常に簡単な問題で、方程式を使うかどうかの選択をするまでもなく解く問題でした(もちろん方程式は使わずに)。
むしろ方程式でしか文章題に対応できない、という頭の固い子が解くならば、かなり苦戦したことでしょう。
方程式は知っていれば有利なのですが、方程式だけでは受験に対応しきれないのです。

次にこれをくわしく書きます。

注 開成は2012の大問3で、連立方程式以外のアプローチはありえない、という出題もしています。
百歩譲って面積図の問題とも言えますが・・・

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