9:方程式では解けない(解きにくい)問題 2016 聖光

連立方程式を知っていても容易には解けない問題がある

方程式オンリーで良いとは思わない。なぜなら方程式では解けない(解きにくい)問題がある。

続いてこれの根拠を書きたいと思います。

まず大前提を再確認いたしますが、方程式を使うか否かの選択があるのはいわゆる「文章題」においてです。
数の性質や場合の数や・・・その他様々な単元では、そもそも方程式を使うという選択肢はありません。
厳密にいえばそうではない問題を作問できますが、本質的には、という意味です。

方程式だけでは無理、というのは、算数全般においてはあたりまえの話であり、
柔軟に様々な考え方を身につけていく必要があります。

ここで話題にするのは、文章題における方程式の使いづらさ、についてです。

「難関校では、連立方程式さえ知っていれば容易に解けるような類の
問題は出題されない」

は必ずしも真ではなかったことを前に書きましたが、

「難関校では、連立方程式を知っていても容易には解けない問題が出題される」
は真なのです。
やはり具体例を見ましょう。

2016 聖光 帰国入試

聖さん、光さん、学さんの3人がP地点とQ地点の間を移動しました。P地点とQ地点の間にR地点があり、P地点とR地点の間の距離は420mです。
まず聖さんがP地点からQ地点に向けて出発し、同時に光さんがR地点からQ地点に向けて出発しました。その後しばらく経ってから、学さんがQ地点からP地点に向けて出発しました。
聖さんと光さんが出発してから10分後に聖さんは光さんを追い抜き、その後、聖さんと学さんがすれ違いました。聖さんと学さんがすれ違ってから45秒後に、光さんと学さんがすれ違いました。そして、聖さんと光さんが出発してから26分36秒後に、学さんがP地点に到着しまた。
3人の移動する速さはそれぞれ一定で、聖さんと学さんの移動する速さの比は9:10でした。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)聖さんと学さんがすれ違ったのは、聖さんと光さんが出発してから何分後ですか。
(2)と(3)は割愛。

さて、解いてみて下さい。
結構難しい問題ですので、もし解けなかったとしても、10分くらいは粘ってみてほしいと思います。

いかがでしたでしょうか。

方程式を知っていても、それで楽に解けるとは言えないと思います。
おそらく多くの方は解けなかったのではないでしょうか。

もしあなたが方程式で楽々解いてしまったならば、ではこう想像してほしいと思います。
「この方程式解法をこどもに教えることはできるのだろうか。こどもはこの方程式解法を自分のものにできるだろうか」
非常に難しいと思いませんか。
単純な消去算とは比較にならないほど高度ですよね。

「難関校では、連立方程式を知っていてもば容易には解けない問題が出題される」
の一例としてあげた聖光の速さですが、以下、方程式解法と算数解法の2つをご紹介します。

方程式による解法

当然ですが、まず立式が容易ではないですね。
何がポイントなのかを把握する難しさがあります。
聖くんと学くんの速さの比が9:10という情報と、
求めるべきものが聖と学のすれ違いの時間ですから、
このあたりが重要な予感ですね。とりあえず光は後回しにしておいてよさそうです。

PQ間の距離をXm
聖くんの分速を9Ym/分
学くんの分速を10Ym/分
聖くんの出発からt分後に学くんが出発、
学くんの出発からt´分後に聖くんと学くんがすれ違ったとすると、

(この時点で未知数が4つです・・・こどもには無理・・・大人でも無理な人多数です)

PQ間の距離についての式
9Yt+9Yt´+10Yt´=X ・・・①

26分36秒=26.6分についての式
(9Yt+9Yt´)/10Y+t+t´=26.6・・・②

4つの未知数なので4つの式が必要だ!!式が足りない!!
と思い込んでいると、もう手も足もでないですね。
後回しにした光くんを持ち出すこともできるのですが(光くんの速さは9Y-42)・・・

実は、最終的に求めるものが、t+t´なので・・・よく式を見ると・・・
②式たった1つで解決します。
非常に気付きにくいのではないでしょうか。

②式を整理すると、
1.9(t+t´)=26.6
となるので、t+t´=14  答えは14分です。

改めて申し上げます。
この方程式の解法、易しくないです。
これくらい簡単だとおっしゃる保護者様もいるかもしれませんが、
少なくとも小学生にはかなり難しいです。

では算数的解法を紹介します。
小学生がどれほど頭柔らかくこの問題を解決してしまうのか、
興味津々ですよね。

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