4:塾業界のストックフレーズ

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方程式だったり特殊算だったり

結局、進学塾でも方程式を教えているという事実について書きました。

しかし、なんでもかんでも方程式で解いてしまえ!

という指導をしている塾はありません。
注 大手進学塾で現在ないという意味です。どこかの個人塾で、方程式を全面に押し出したカリキュラムで指導している所があるかもしれません。

方程式を、みっちりきっちりと導入して(これは中学1年生が半年近くかけて学ぶことです)、
その後は文章題をすべて方程式で指導している、そのような塾はないのです。
※確認をしておきますが、方程式を使うか否か、は「文章題」においてです。
数の性質、場合の数、規則性、図形・・・多くの単元ではそもそも方程式を使用しません。
使用するかしないかではなくて、使えないという意味です。
※厳密に言えば図形を代数的に解くことが可能な類の出題はあるですが、さすがに小学生にこの解法を選択させることは皆無でしょう。

ですから、保護者様がある文章題を方程式で解いたとして、こどもは「こんな解き方わからない」となるのです。

では基本的に方程式は使わないのだろうか。
消去算のときにだけ例外的にでてくるのか、というと
そんなことはありません。

文章題のあらゆるところで、方程式と実質的に同じ解き方をする問題がごろごろ転がっているのです。
そして一目見ただけでは方程式を使わないで解ける問題との差はわかりません。

つまり、
消去算を筆頭に、方程式(あるいは方程式と実質同じもの)で解くように指導するものもある。
しかし、方程式ではない解法で指導されるものもある。

??一体?何これ??

という疑問符で頭がいっぱいになっていますよね。
疑問2に再登場してもらいます。

疑問2 ではなぜ進学塾は方程式を教えないのか。

この疑問は、形をかえて下のような疑問になっていることと思います。

疑問3 方程式で解く問題と、方程式では解かせない問題の差は何か。
    また、そのように指導する意図は何なのか。

まったくもっともな疑問だと思います。

方程式の指導は同じ塾内でも統一されていない

しかし、このごくあたりまえの疑問でさえ、多くの保護者様は
今まで持つことがなかった、持てなかったのではないでしょうか。

中学受験の算数といえば極めて特殊な世界。
プロの塾の先生にまかせるしかない、という認識と
塾側の説明不足が重なった結果だと思います。

塾側の説明不足について書きますと
1.そもそも聞かれないから詳しく話す必要もない
2.そもそも教師もここまで考えていない、考えがまとまっていない

の2点が挙げられます。

びっくりされる方も多いかもしれませんが、2.の教師がほとんどです。
「この問題は、こうやって解く=教える」という解法知識に長けていても、
全カリキュラムの相互の繋がりや、それを踏まえた終始一貫した指導法を持っていない教師はゴロゴロいます。

はっきり書いてしまいましょう。
さきの疑問3
方程式で解く問題と、方程式では解かせない問題の差は何か。
また、そのように指導する意図は何なのか。

この問いに、明確に論理立てて答えられる教師はあまり多くないのが、中学受験業界の実情です。
多くの教師は疑問3に対して以下のような回答をすると思います。
小学生が扱える範囲で方程式と同じような解法を取り入れていく。
ただし、あまり抽象度の高いことは小学生向きではないからやらない。
できるだけ算数的に解くように指導し、試行錯誤する力を伸ばしていく。

まったく間違ったことは言っていません。
このような回答はある意味、塾業界のストックフレーズ(決まりきった定型の文)のようなものです。
自分もこの回答に賛成です。
むしろ、賛成するしかない言葉を並べているともいえます。

さらに、負の数や移項や同類項をまとめるなどが、小学生向きでないという説明をする人もいるかもしれません。このような説明をされたら、専門家がそれっぽい説明をしてるからそうなんだろうな、って片づけてしまうのが普通な気がします。

でも、自分は先の説明は「結局は曖昧だな」とも思います。
方程式の指導についてあまり理解していない教師も、先のストックフレーズさえ言っておけば済む
、そのような説明でもあるからです。

注 方程式の指導についてあまり理解していない教師もたくさんいます。
できるだけ方程式は使わない方がいいですよと言いながら、本質的には1次方程式を解くこととまったく同じ解き方をしていることに気がつかない教師もいます。

続きの記事はこちら

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