食塩水と比
食塩水と比
例題1
ビーカーAとビーカーBのどちらにも、10gの食塩を入れました。その後、2つのビーカーに水を入れ、食塩水をつくりました。どちらのビーカーの食塩もとけ残らず、10gすべての食塩がとけました。ビーカーAの食塩水全体の重さが、ビーカーBの食塩水全体の重さの2倍のとき、ビーカーAの食塩水の濃さとビーカーBの食塩水の濃さの比を求めなさい。
解説
ん?同じ量の食塩で、全体の量は2倍・・・?
迷うくらいなら暗算しないで、紙上で整理をすること!
食塩の比は1:1
全体の比が2:1
(全体)×(濃さ)=(食塩)
A:2× ? =10g
B:1× ? =10g
あ、逆比ですね。
つまり、
(全体)×(濃さ)=(食塩)
A:2× 1=10g
B:1× 2=10g
濃さの比は1:2です。
はい、正解です。
「同じ量の食塩」ならば、
全体が2倍になれば濃さは \(\displaystyle \frac{1}{2}\)
全体が3倍になれば濃さは \(\displaystyle \frac{1}{3}\)
という反比例(逆比)の関係になる。
2倍にうすめれば、濃さが \(\displaystyle \frac{1}{2}\) って、感覚的にわかりませんか?
感覚的にわかるというレベルになるのが理想ではあるけれど、そのレベルまで到達しなくても問題はないよ。
「速さ」では、頻繁にこのような比を使うのだけれど、「食塩水」ではこのように比を使う機会はそれほど多くはないかな。だから、毎回上でやったような式による情報整理をすれば良いよ。
それに、そもそも、式による情報整理をたくさんたくさんこなした人が、感覚的にわかる!というレベルになれるのですからね。
「同じ量の食塩」ということで、類題を見ておこうか。
類題
濃さが7%の食塩水450gに水をさらに180g加えました。濃さは何%になりましたか。
解説
もちろん比を使わないで解ける。
基礎の基礎の問題だ。
でもね、改めて比という視点から見直しておくことで、実力アップにつながるんですよ。
何通りか解き方を見ておこう。
解1
水を加える前と後で、食塩の量が同じですね。つまり、1:1
(全体)×(濃さ)=(食塩)
前:450× 7=①
後:630× ?=①
ここで食塩の量を出す必要がないというのがポイント。
確かに。2つの積が等しいから、逆比ですもんね。
全体の量が450:630=5:7だから、濃さの比は逆比の7:5となる。
(全体)×(濃さ)=(食塩)
前:450× 7=①
後:630× 5=①
5%ですね。
簡単に求まりました。
正解です。
比を使うと楽だよね。
解2
上の解き方と実質同じ解き方なんだけど、もう1つ。
水を加える前と後で、食塩の量が同じだから、等式をつくる。
450× \(\displaystyle \frac{7}{100}\)=630×\(\displaystyle \frac{?}{100}\)
もちろん、等式は簡略化していく。
左右を100倍して、さらに左右を90で割る。
5×7=7×?
より、?=5
5%と求まります。
解3
上の2つの解き方のエッセンスを究極にまとめると以下のようになります。
450gだった食塩水を630gに薄めた。
水を加える前と後で、食塩の量が同じ。
全体の量が、\(\displaystyle \frac{630}{450}\)=\(\displaystyle \frac{7}{5}\) 倍になったのだから、
濃さは、\(\displaystyle \frac{5}{7}\) 倍になる。
だから、7%だった食塩水が、5%になる。
なんだかわかったようでわからないかも・・・
2倍にうすめたら濃さが \(\displaystyle \frac{1}{2}\) 倍
3倍にうすめたら濃さが \(\displaystyle \frac{1}{3}\) 倍
これならピンとくるかな?
それくらいわかれば十分です。