1:速さと分数
1:速さと分数
ここからいよいよ、本格的になっていきますよ!
算数において、「分数」が上手に使えることは、とても重要です。
分数を使わないで算数をやるなんて、まるで包丁を持たないで料理をするようなものです。
必ず分数を積極的に、上手に使っていかないといけません。
算数のありとあらゆる単元で分数を使いこなしていくのですが、ここでは、「速さ」における「分数」の利用を見ていきましょう。
分数の利用のエッセンスがすべて詰まっています。
「速さ」とは「時間」と「距離」が正比例することを扱う単元です。
これは、もちろん「比」と直結する内容ですし、そもそも「比」と「分数」はまったく同じものの別表現にすぎません。いずれ、「速さと比」において全容を見ることとなります。
1:割算は即座に分数にする!
例題1
1kmを分速75mで進むのにかかる時間を求めなさい。
解説
よく練習したので、問題を読んだ瞬間に解き方がわかります!
1000÷75
を計算すれば答えがでます!
うん、あってるよ。
では計算をしてごらん。
えーと・・・(筆算する学くん)
1000÷75=13.33・・・
割り切れないです先生!
うんそうだね。
1000÷75=13.333・・・・
と永久に割り切れないよ。
え?では、どうすれば・・・?
分数を使うに決まっているじゃないですか。
基本中の基本だぞ。
1000÷75=\(\displaystyle \frac{1000}{75}\)
このようにわり算を見たら、何も考えずに分数にするのが常識です。
あ・・・なるほど・・・
そうでしたね。
\(a÷b=\displaystyle \frac{a}{b}\)
これが分数の定義だよ。
わり算をしないで、数を上下に並べればOK!
これこそが分数の素晴らしさ。
で、
約分が必要なら約分する。
これがわり算に対する正しい態度です。
ものすごーく重要だから、必ず覚えてね。
はい。
1000÷75=\(\displaystyle \frac{1000}{75}\)
じゃあ、約分をしますね。
\(\displaystyle \frac{1000}{75}=\displaystyle \frac{200}{15}=\displaystyle \frac{40}{3}=13\displaystyle \frac{1}{3}\)
で、何を求めたのだっけ?
単位は何?
単位は分です。
\(13\displaystyle \frac{1}{3}\) 分ということは、13分20秒が答えだ!
正解です。
わり算は、必ずしも割り切れるとは限らないよね。
「わり算」ときたら「分数」にする。
必ず暗記すべき必須知識です。
割り切れないという心配もないし、何より「約分」はとても便利な計算だ。
けた数の多いわり算をやらなくて済むからね。
もちろん分数を使わないで計算するときだってあるよね。
「余りをだすべき問題」のときだ。
例えば、「1000円を75人で分ける、1人いくらもらえるか」ならば、
1000÷75=13あまり25
1人13円ずつもらって、25円あまる
あまりを出すべきか、分数にすべきか。
問題によって使い分けましょうね。
例題2
次の□に当てはまる値を求めなさい。
3375mを45秒かけて進む速さは秒速□m
解説
3375÷45
を計算すればいい。これはすぐにわかります。
うん合格!
次は、この計算をいかに素早く正確に処理ができるか。その練習だよ。
わり算なんだから・・・
はい、すぐに分数にします。
3375÷45=\(\displaystyle \frac{3375}{45}\)
あとは約分です。
\(\displaystyle \frac{3375}{45}=\displaystyle \frac{675}{9}=75\)
あ、割り切れた。
答えは75だ。
秒速75mです。
OK!大正解。
今回は、3375÷45=75 と割り切れた。
でも、計算してみるまで割り切れるのかどうかはわからなかった。
だから、いきなり筆算をするのは絶対にやめないといけない。
それに、3375÷45を筆算するのって・・・かなり面倒ですね。
「分数にして約分」こそが最強のやり方なのです。
必ずこの方法で学習を進めていくのです!
はい。わかりました!
上の例題における約分
「\(\displaystyle \frac{3375}{45}\) を約分せよ」
この約分の計算も、面倒でたいへんである、というレベルの生徒も多数見てきました。
3375÷5=675
を、暗算か、それに準ずるレベルの計算で処理できないのです。
えっちらおっちら筆算でようやく答えをだす、そんなレベルです。
結局算数の力の大半は、「思考力」などという曖昧なもの以前に、圧倒的に「計算力」なのです。計算が遅すぎて、計算にエネルギーの大半をつぎこむせいで、算数を楽しく考えることができない子どもが圧倒的多数です。
4年生後半から少なくとも5年生の夏休み前頃をめどに、「約分」をサラサラとこなせるような計算練習を積んでおきましょう。
例題3
次の□に当てはまる値を求めなさい。
3kmを時速7.5kmで進むと、□分かかります。
解説
時速7.5kmを分速に直します。
7500÷60=125
分速125mです。
だから、
3000÷125=24
24分です!
正解です。
素晴らしいのだけれど、もっともっと計算上手になってほしいな。
3kmを時速7.5kmで進む
3÷7.5=\(\displaystyle \frac{3}{7.5}\)(時間)
かかる。
わり算はすぐに分数にする!
\(\displaystyle \frac{3}{7.5}\)(時間)
分母が小数なんですけど・・・こんなのアリですか?
アリです。
何の問題もありませんから、慣れてくださいな。
分数は、分子と分母に同じ数をかければ、等しい値だから、
分子と分母を10倍すれば、
\(\displaystyle \frac{3}{7.5}=\displaystyle \frac{30}{75}\)
\(\displaystyle \frac{30}{75}\)(時間)
なら見慣れた分数です。約分すれば、
\(\displaystyle \frac{30}{75}=\displaystyle \frac{2}{5}\)(時間)
24分ですね。
さっきと同じ答えが求まりました。
こっちの方が計算が楽だよね。
どんどん分数をつかっていこうね。
ちなみに、分子と分母を2倍して、
\(\displaystyle \frac{3}{7.5}=\displaystyle \frac{6}{15}\)
とした方がさらに計算が楽だよね。
さらに4倍して、
\(\displaystyle \frac{6}{15}=\displaystyle \frac{24}{60}\)
より、24分と求まりますね。