大手塾の定期テスト後、生徒たちは自己採点や、間違えた問題の解き直しをします。

「あと5問は正解できたはずだ。ケアレスミスだ」
このようなセリフを99.9%のお子さまが口にします。
先にかいた通り、まったく分かっていないわけではないが、時間がないゆえに正解に至れないということが頻発するような時間設定のテストだからです。

では時間がたくさんあれば、本当に一発で正解を書くことができたのでしょうか。

今回は、この自己評価について掘り下げてみたいと思います。

自分に対する評価は超甘口採点

「解き直してみたら、解けた。」

お子さまがこのように主張したとき、以下の3ケースが想定されます。

  1. 本当に解き方がわかっていて、テスト時に正解できてもおかしくなかった。
  2. 自力で短時間で解けるのかというと怪しいが、かなりの理解まで到達している。
  3. 本当はよくわかっていない。(解説を読んでみてわかったつもりになっている。あるいは、こっちが×ならばこっちかな?という程度の認識で適当に計算したら正解の値が出た。あるいは、正解の値を見たうえで解きなおしていて、正解の値を出すための計算を逆算して考えている。)

家で解き直してみたらできた、の実態は以上の3パターンのミックスなのです。

ほぼすべてのお子さまが、自分に対する評価は超甘口採点です。
厳密に評価したら3.のものを、「解き直してみたら、解けた。」と言っている可能性は否めません。
このようなこともあるということは、保護者様は想定しておくべきでしょう。

本当はよくわかっていないことは多々ある

1.本当に解き方がわかっていて、テスト時に正解できてもおかしくなかった。

これに関しては、さしあたって心配したり対策を講じたりするものではありません。
単純に、計算の速さ、正確さを増していくよう日々努めるしかありません。
ですので、すぐに解決しますよ、とも言えませんが、
理解に到るという学習そのものは順調に進んでいると言えます。

2.自力で短時間で解けるか、というと怪しいが、かなりの理解まで到達している。

このレベルは、お子さまに言わせれば「完璧にわかっている」と主張することが多いです。
確かにかなりの程度まで理解が進んでいるので、そのこと自体は褒めて認めてあげて欲しいと思います。
ただしこのレベルから、「確実にテストで正解ができる」のレベルに到るには、それほど簡単だともいえません。
このようなレベルの問題を余裕で解けるレベルに引き上げていくことが、算数学習で最も時間のかかるポイントだからです。
そのための学習は、端的に徹底的な反復練習を積むしかありません。

以上1.と2.は、いわゆるケアレスミスと呼ばれるものなのでしょう。
ただし、前のコラムでも書いている通りですが、点がとれない、とは、結局は実力がないと強く割りきることが大切です。
時間内に正確に処理をやりきる能力まで身に着けて、はじめて実力がついたといえるのです。

3.本当はよくわかっていない

お子さまにしてみたら嘘をついているつもりは多分ありません。
なんとなくわかったような気がしているのです。
ただし、少し時間をおいてみてから再度解き直しをさせると全く手も足もでない、ということも起こります。
お子さま自身が主張する、「解き直してみたら、解けた。」には、このような問題が含まれている可能性も大いにあると知っておいてください。

当然見つかった弱点の克服のためには、わかるまできちんと学習することにつきます。
もしどうしてもわからないならば、わかるところまで戻って改めて1つ1つ進んでいくしかありません。

そもそも、学習初期から完璧な理解に至る過程は、先にあげた3→2→1のようなステップを上がっていくことに他なりません。

なんとなくわかったけど、確実に自分のものになったとはいえないレベル。
このレベルまでの到達で、勉強が済んでいると錯覚しているお子さまはとても多いです。
確実に身についたといえるレベルになるまで満足しないことが重要です。

ケアレスミスだと判断した問題を、再度忘れたころに時間制限なしで解かせてみましょう。
案外できないものです。

単純にケアレスミス、と括って片付けないで、1つ1つ丁寧に解き直し、理解するように努めましょう。
せっかくテストで見つかった弱点をそのまま放置してしまうことは非常にもったいないです。

自己評価は超甘口である。
肝に銘じてほしいと思います。

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