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11:算数の能力の神髄

方程式の真の難しさは「立式」

はじめから中学生に教えるように方程式を教えることはいろいろな理由で反対

根拠として、方程式だけでは対応できない(しにくい)問題がある、ということを具体例とともに書きました。

結局は問題のポイントを掴み取る能力が、算数の能力の神髄なのです。

なんでもかんでもX、Yとおいて、ということだけを機械的に練習していると、問題の条件を整理したり、ポイントを掴むという能力が育ちません。
注 良心をもってかくと、絶対に育たないとはいいきれませんが。

そもそも、方程式の難しさとは何なのでしょうか。
方程式を解くための式処理そのものは、ルールを覚えてしまえばさほど難しいものではありません。
(少なくとも小学校高学年、中学受験をしようという子ならば間違いなく理解できます)。

方程式の真の難しさとは「立式」です。
公文などで、早い時期に方程式が解けるようになったという子どもも、大半は与えられた方程式は解けるけど、文章題を読んで方程式を立てることはできないはずです。
中学生になっても本質は同じです。できない子は「立式」でつまづくのです。
難しい問題、ポイントをつかむことを要求する問題に対してやみくもに立式をすると、未知数が非常にたくさんになったりして、とてもじゃなけど計算できないような連立方程式になります。

くりかえますが、差がつくのは、ポイントをつかむ能力です。

例えば、線分図です。
算数で用いられる代表的な解法の1つですが、実質的に方程式を立式しているのとなんら変わらないことをやっています。

図は、問題を視覚的に整理するためにきわめて有効なのですが、それはつまり立式のための補助をしているともいえます(数学的には立式と同値のことをしています)。

思考力をつける などとよく言われますが思考力なんて曖昧な言葉、そもそも何を指しているのでしょうか。
何をさしているのか明確でないものを、どうやって鍛えるというのでしょうか。

育てるべき力は、「問題文を整理する力」です。

問題を見て、方程式で解くのか、算数的に解くのかの2択を考えるわけではありません。
確率50%の賭けにでるわけでもありません。

問題を整理していくのです。
問題のポイントを掴むためです。
問題の全体像を把握するのです。

これは算数特有の思考ではありません。
そもそも方程式を立式するためにも、問題のポイントを掴む必要があります。
そのような意図をもって問題を整理し、思考しているうちに結果論として、  

方程式的に(代数的に)解いてしまったり
より算数的な解法で解いてしまったり 

するのであって、

スタートのときには、どちらのゴールに着くのかもわからない、
というのが算数を解くときの姿勢といえます。

そしてもちろん、どちらの解法にも精通していることが、実際に入試会場で問題が解ける可能性を上げることに繋がるのです。

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