「テストではできなかったんですが、家で解きなおすとできるんです。あと30点は取れたはずでした。うちの子はケアレスミスが多くて、どうしたらなおりますか」
大手塾の定期テストの後でよく聞く言葉、質問です。

ずばりお答えしますが、
ケアレスミスは特殊な理由で起こる特異な現象ではありません。単純に実力がないことが原因と心得てください。なおるとかなおらないの問題ではありません。例えばお子様に2学年下のテストを受けさせたとしましょう。おそらくケアレスミスはしません。
ケアレスミスの最大の原因は時間制限です。実力のある子ほど、テスト中に時間の余裕があるので、慎重さに欠けるが故の失点=ケアレスミスが起きにくくなります。もしも倍の時間でそのテストが実施されたらどうなるでしょうか。多くの子が20~30点近く点数を伸ばすでしょう。つまりケアレスミスの多くが解消されます。その分算数のトップ層が割を食います。その子たちは普通の制限時間ですでに多くの正解を出していたので、時間を倍にしてもらったところで、伸ばせる点数はわずかです。その結果、多くの受験者が高得点を取り、その中で本当に実力のある子が誰なのか分からなくなってしまうのです。これを防ぐために、中学受験の算数の問題は、平均点が6割くらいになるように質と量のバランスを考えて作られています。つまり、ほとんどの受験生にとっては、8割くらい得点したくとも時間がぜんぜん足りないテストパッケージになります。
つまり、時間制限のある中、何問正解できるのかを競うのがテスト〈受験)です。いいかえると、時間制限のある中どれだけケアレスミスをしないか、を競っているのです。そんなルールのゲームで、ケアレスミスをしてしまうと言ったところで意味がないのです。そもそもケアレスミスという言葉は、本当ならできたはずだという甘えの言葉であり、むしろ使うべきではないと心得ましょう。

※大手塾の定期テストや実入試を想定してかきました。大手塾の定期テストはおおよそ50分で25~30問を解かせる形式です。1問あたりどれくらいの時間をかけられのか考えたことのある人は少ないでしょう。平均して1問、100秒~120秒です。このテストで8割以上の得点を取る(平均点にもよりますが、およそ偏差値60)には、ほとんどの問題が既知である必要があります。考えている時間などありません。そして、速く正確な計算処理能力が必要です。これが中学受験の算数です。
※2学年下のテストの話の補足。余談ですが、6年生のやや難しいテストとなると、中学生になろうが、大人になろうが、得点できない人は得点できません。難度が飽和するからです。むしろ普通の高校入試や大学入試の問題の方が簡単だったりします。